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Field Papersを使った現地調査
この章では、GPSロガーを使わずに地物の位置情報を記録する方法を紹介します。また、そのためのツールとしてField Papersを利用します。Field Papersは編集対象となる地域の地図を印刷用に出力できるサービスで、印刷した紙に情報を書き込み、JOSM上にデータとして読み込ませることができます。Field Papersチュートリアルビデオとして8分間の動画も公開されており、写真のアップロードと地図の作成方法が紹介されています。
Field Papersの概要
Field Papersの詳しい使い方の前に、このサービスがどのように動いているかを紹介します。
- 編集対象になる地域をField Papersのウェブサイトで表示し、その地域の地図を印刷します。地図の背景は基本的に現在のOpenStreetMap表示ですが、もしその地域の航空写真が提供されていれば、航空写真にも変更可能です。
- 印刷した地図を使って、地域を調査します。道路や建物の形、その他に気がついた現地の情報を、印刷した地図の上に直接書き込んでください。書き込むスペースが足りない場合は、地図の上に数字だけを書いておいて、別のノートに詳細を書き込んでおくのもよいでしょう。
情報を書き込んだ紙をコンピュータへ読み込ませます。スキャナが無い場合は、その紙を高画質のデジタルカメラで撮影します。取り込んだ画像データをField Papersのサイトへアップロードしてください。
JOSMでField Papersを読み込みます。紙に書き込んだ情報を参照して、OpenStreetMapに追加するデータを描画します。
Field Papersの仕組み
上記の作業を行うことで、紙以外の機材を使わずに、対象となる地域の地理情報を集めることができます。では、その仕組みを見てみましょう。
Field Paperを印刷すると、紙の下の方に四角形のバーコードが印刷されます。このバーコードに含まれる情報を使って、Field Papersは調査対象となる地域の位置情報を決定します。その後、JOSMでデータを読み込む際には、その情報を元に対象地域の場所が表示されます。これはGPSロガーを使った緯度経度情報の収集に似ていますが、必要な機材は紙だけです!
それでは、Field Papersの作成方法と利用方法を見てみましょう。
Field Paperの作成と印刷
- ブラウザを起動します。アドレスバーに以下のアドレスを入力してください: fieldpapers.org
- 以下のウェブサイトが表示されます:
- Make yourself an Atlas をクリックし、印刷したい地域を選択してください。
- このようなページが表示されます:
入力欄に、対象の地域の名称を入力してください。入力が終わったら “Start there"をクリックします。
印刷対象となる地域の地図が表示されます。OpenStreetMapウェブサイトで表示される地図と同じように操作ができます。地図の表示位置を変更したい場合は左クリックしながらドラッグ、マウスのスクロールボタンを使って拡大と縮小ができます。拡大と縮小は、画面に表示されている (+)と(-)のボタンを左クリックすることでも可能です。
- 地図の操作以外に、いくつか追加で操作が必要です。ひとつは、Field Papersを印刷する際の印刷方向の指定です。縦方向と横方向のどちらかから選択してください。
- ふたつめは、Field Papersに表示させるデータの種類の選択です。ここでは、印刷時の地図の見た目を選ぶことができます。今回は Black and White を選択します。
- 地図として印刷したい地域が正しく画面に表示されているかを確認します。画面に表示されているフレームを操作することで、Field Papersの印刷ページ数を増減させることができます。対象の地域が、あまり広すぎない程度に印刷されるようにしてください。あまりに範囲が広すぎると、歩きまわって情報を集める際に不便です。また、操作を間違っても気にしないでください。同じ操作を行って、何度でも生成作業を行うことが可能です。
- 作成が終わったら印刷をしてみましょう! マッピング対象の地域が明確になり、オプションで選択した内容にも問題がないことを確認して、準備完了です。ドロップダウン表示の隣にある"Next"と表示されたボタンをクリックしてください。
- この紙に名称をつけます。もし必要な場合は、それぞれの紙に文字列を表示させることも可能です。
- 次に、レイアウトの設定を行います。オプションが3つ用意されています。UTMグリッドの格子模様を表示に追加することも可能です。大抵の場合は、デフォルトである “Maps Only”(地図表示のみ) を選択すれば大丈夫です。
- “Finished!” をクリックします。
- 印刷用データの生成が開始されます。生成が完了するとページが切り替わり、データが表示されます。生成はだいたい数分程度で完了しますが、対象の枚数が多い場合はそれなりの時間が必要です。
- 印刷の準備ができたら"Download map PDF for print"をクリックして、Field Paperデータをダウンロードします。
- ダウンロードが完了したら、PDFファイルを開いてみましょう。コンピュータとプリンタを接続し、地図を印刷します。印刷に問題がないことを確認してください。
Field Papersを使った現地調査
- Field Paperを持って外へ出ましょう。対象の地域を歩き、地図上に記載されていない地物を書き込んでください。
- 道路や建物の形、その他に気がついた現地の情報を、印刷した地図の上に直接書き込んでください。書き込むスペースが足りない場合は、地図の上に数字だけを書いておいて、別のノートに詳細を書き込んでおくのもよいでしょう。
- 紙の地図に十分な情報を書き込んだら、コンピュータのある場所に戻ってそのデータをOpenStreetMapへ追加しましょう。
スキャンとアップロード
- 紙だけしか使わないマッピングとして、Field Paperは非常に有効です。ただし残念ながら、100%の魔法のツールというわけではありません。収集したデータをOpenStreetMapへ登録するには、紙に記載した情報をJOSMに読み込み、内容をデジタル化する必要があります。
- まずは、あなたのコンピュータへField Paperをスキャンします。スキャナをコンピュータへ接続し、紙をスキャンして画像ファイルとして保存します。スキャナが無い場合は、写真を撮ることでも代用できますが、写真の写りには注意してください。紙は平らに伸ばし、カメラに他のものが写り込まないように注意します。また、印刷されたバーコードが写真に収まるよう気をつけてください。バーコードが無いと、Field Paperは正常に動作しません。以下は、スキャン/撮影した画像イメージの一例です:
- Field Paperの紙をスキャンしてコンピュータへの保存が完了したら、もう一度ブラウザを起動して、先ほどと同じように filedpapers.orgを表示させてください。
- “Upload"タブをクリックします。
- “Choose File"をクリックし、画像として取り込んだField Paperのファイルを選択してください。
- “Upload"をクリックします。
- インターネット回線の状況にもよりますが、アップロードにはだいたい数分ほどかかります。アップロードが完了すると、以下のような画面が表示されます:
Field Papersプラグインの追加
- Field PaperをJOSMで読み込むためには、専用のプラグインをJOSMにインストールする必要があります。
プラグインはJOSMの追加機能です。Field Papersプラグインは、アップロードした画像を背景画像として、衛星画像と同じように表示させる機能を持ちます。
- JOSMを起動し、上部のアイコンメニューから設定画面を起動します。
- プラグインタブ(コンセントのアイコン)をクリックします。
- プラグインの一覧が表示されますので、その中からField Papersプラグインを探し、その横にあるチェックボックスにチェックを入れてOKをクリックします。
- JOSMを再起動します。
JOSMでのField Paper読み込み
- JOSMでField Papersを読み込む準備が完了しました。ファイルを読み込んで、OpenStreetMapへデータを追加してみましょう。ブラウザへfieldpapers.orgと記入して、Field Papersウェブサイトを表示させます。
- サイト上部の"Watch"タブをクリックし、"Snapshots"へ進みます。
- 表示されている一覧から、あなたがアップロードしたファイルを選んでください。以下のような画面が表示されているはずです:
- JOSMでファイルを読み込むには、スキャンした紙情報のスナップショットIDが必要です。ブラウザのURLアドレスバーに表示されているテキストを選択して、キーボードのCtrl+Cを押し、テキストをコピーします。テキストは、以下のような文字列になっています: http://fieldpapers.org/snapshot.php?id=zqw8m33x#16/14.6582/121.1098
- JOSMの上部メニューにある “Field Papers"をクリックし、"スキャンされた地図…"を選択します。
- キーボードの CTRL+V を押して、Field Papersウェブサイトでコピーした文字列を貼り付けます。
- “了解” をクリックします。
- 作業がうまくゆくとJOSMにField Papersの画像が表示されます。OpenStreetMapへのデータ追加方法は、次の章で扱います。
![fieldpaperjosm][]
アップロードしたField Papersファイルは、iDやPotlatch2などのオンラインエディタからも参照可能です。Field Papersのページに表示されている “Edit in iD” や “Edit in Potlatch"のリンクをクリックしてください。
再調査の実施
- 地図上の変更点をOSMへ追加することで、情報はOSMの地図上に保存されます。次回の調査で同じ地域をまわる際には、今回行った調査の結果を含んだデータをField Papersで作成する事が可能です。調査を何度も繰り返すことで、OSMの地図も、あなたの地図も、より詳しく、使いやすくなってゆくことでしょう。
まとめ
おつかれさまでした。この章では、Field Papersの仕組みと使い方について学習しました。Field Papersの印刷方法と利用法、スキャンした地図の取り扱い、そしてそれらを使って、OpenStreetMapの情報を改善することができるようになりました。